Falcon Heavy、NASA のローマン宇宙望遠鏡を打ち上げ
2026年8月30日、Falcon Heavy が NASA の Nancy Grace Roman 宇宙望遠鏡を打ち上げました。サイドブースター2本は発射場近くの着陸場に戻りました。
公開日 更新
Hall 02 · Falcon
Reusability
再使用ロケットとは、打ち上げに使った機体を地上や海上へ戻し、点検・整備して再び飛ばすロケットのことで、Falcon ではエンジンの再噴射と操舵翼を組み合わせて1段目を垂直に着陸させます。
ブーストバック、再突入噴射、グリッドフィン、着陸脚など、Falcon の1段目を帰還させて再び飛ばすための技術と手順をたどる展示です。
公開日
How it works
1段目は燃焼を終えると2段目を切り離し、ここから帰還が始まります。まず冷ガススラスター(圧縮したガスを吹き出す小型の姿勢制御装置)で機体の向きを反転させ、機体上部に畳んでいたグリッドフィン(格子状の操舵翼)を広げます(NASA 掲載の飛行概要図)。
発射場近くの着陸場へ戻る場合は、エンジンを再び点火して進行方向を反転させ、来た方向へ引き返す軌道に乗ります。これが「ブーストバック」です。2026年8月の Falcon Heavy による Roman 宇宙望遠鏡の打ち上げでは、サイドブースターのブーストバック噴射は1分余り続く計画でした(NASA)。
大気の濃い層に入る前には、もう一度エンジンを点火して速度を落とします。これが「再突入噴射(エントリーバーン)」です。その後はエンジンを止めて落下しながら、グリッドフィンの角度を変えて機体を操ります。SpaceX によると、グリッドフィンは機体にかかる空気の力の中心(圧力中心)を動かすことで、再突入中の向きを制御します。
地面や船の直前で、エンジンを最後にもう一度点火して速度をほぼゼロまで落とします(着陸噴射)。同時に、機体の底部に畳まれていた4本の着陸脚が着陸の直前に開きます。脚は炭素繊維とアルミハニカム(蜂の巣状の軽量構造)でできています(SpaceX)。2016年の海上着陸では、3回の噴射のうち最初の2回は3基、最後の1回は1基のエンジンを使ったと報じられています(Spaceflight Now)。
着陸先は、ミッションに必要な性能で決まります(SpaceX)。重い貨物を高い軌道へ運ぶ場合、1段目は速度が大きく、引き返すための推進剤が足りなくなります。そのため、進行方向の先の海上で待つ無人の船「ドローンシップ」に着陸します(Spaceflight Now)。2016年4月の初の海上着陸では、船は水中の推進器で位置を保ち、ケープカナベラルの北東約300kmで待機していました。
回収された1段目は港や着陸場から運ばれ、点検・整備を経て次の飛行に使われます。衛星を覆うフェアリング(先端のカバー)も、打ち上げ約3分後に分離したあと回収され、再使用されています(SpaceX)。フェアリングは小型スラスターで姿勢を整え、操縦できるパラシュート(パラフォイル)で減速して海へ降り、船で回収されます。2019年11月に初めて再使用されたと報じられています(Spaceflight Now)。
Why it matters
SpaceX は、ロケットで最も高価な部分を再び飛ばせることが、宇宙へのアクセスのコストを下げると説明しています。従来は打ち上げのたびに新しい1段目を製造する必要がありましたが、再使用によってその負担を減らせます。
実績は段階的に積み上がってきました。2015年12月21日に初めて1段目が陸上に着陸し、2017年3月30日に初めて再飛行しました(SpaceX)。2026年8月25日には、2021年6月から運用されているブースター B1067 が37回目の飛行を行い、最多記録を更新したと報じられています(Spaceflight Now)。記録は更新が続くため、最新の値は Database で確認できます。
編集部の見方では、同じ機体を短い間隔で飛ばせることが、Starlink 衛星のような高頻度の打ち上げを可能にし、さらに機体全体の再使用を目指す Starship の構想にもつながっていると考えられます。
Compared
従来の多くの軌道級ロケットは、1段目を打ち上げのたびに海へ落とし、使い捨ててきました。Falcon 9 は、エンジンを再点火して自らの力で減速し、垂直に着陸するという方法で1段目を回収し、再飛行を日常的な運用にしました。
Falcon Heavy では、左右のサイドブースター2本がほぼ同時に発射場近くの別々の着陸場へ戻ります。一方、中央のコアはより高い速度まで加速するため、ミッションによっては回収せずに使い捨てることがあります。
次世代機 Starship の1段目 Super Heavy は、着陸脚で降りるのではなく、発射場へ戻って発射塔に受け止めてもらう設計です(SpaceX)。SpaceX は、Starship と Super Heavy を整備なしで素早く再打ち上げできるようにすることを目指すとしており、回収後に整備を行う Falcon の方式からさらに先へ進もうとしています。
FAQ
公式に示された上限回数は確認できていません。2026年8月25日には B1067 が37回目の飛行を行い、最多記録を更新したと報じられています(Spaceflight Now)。記録は更新が続いているため、最新の値は Database で確認してください。
重い貨物や高い軌道へのミッションでは、1段目の速度が大きく、発射場まで引き返すための推進剤が足りなくなるためです。そのため、進行方向の先の海上にドローンシップを待たせて着陸します(Spaceflight Now)。
SpaceX が Falcon の再使用の対象として説明しているのは、1段目とフェアリングです。2段目は貨物を軌道へ届ける役割を担い、現在の Falcon では再使用の対象になっていません。
グリッドフィンは、細い板を格子状に組んだ操舵翼です。Falcon 9 では段間部(インターステージ)の根元に4枚あり、角度を変えて機体にかかる空気の力の中心を動かすことで、高速で大気に再突入する機体の向きを制御します(SpaceX)。
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
SpaceX · 公式 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 参照 2026.09.30
NASA · 宇宙機関 · 一次情報 · 2026.08.30 · 参照 2026.09.30
Spaceflight Now · 報道 · 2016.04.08 · 参照 2026.09.30
Spaceflight Now · 報道 · 2020.07.21 · 参照 2026.09.30
Spaceflight Now · 報道 · 2026.08.24 · 参照 2026.09.30
Live — 最新状況
2026年8月30日、Falcon Heavy が NASA の Nancy Grace Roman 宇宙望遠鏡を打ち上げました。サイドブースター2本は発射場近くの着陸場に戻りました。
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2026年8月25日の Starlink 10-49 ミッションで、Falcon 9 の1段目ブースター B1067 が37回目の飛行を行い、ブースター再使用の最多記録を更新しました。
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Floor Map
Hall 01
完全再使用をめざす次世代ロケット
Hall 02
再使用ロケットの系譜
Hall 03
人と物資を運ぶ宇宙船
Hall 04
衛星インターネット
Hall 05
企業としてのSpaceX